昭和ひとけた京育ち No.79 「銅像」
 
No.79 「銅像」

「銅像」

25.8 × 36.5 cm

 

  「芝刈り なわない わらじをつくり 親の手をすけ 弟を世話し 兄弟仲よく孝行つくす 手本は 二宮金次郎」

 これは尋常小学校唱歌で、戦前は学校の校庭に黒く光る銅製の二宮尊徳(金次郎)の銅像が立っていた。

 尊徳は江戸末期の農政家で、幼いころ水害で一家が離散したのにもめげず、働きながら勉強を続けた偉人だった。

 学校で教えられたころ、子供たちはこぞって本を読みながら歩き回った。

 「ススメ ススメ ヘイタイ ススメ」。快活に金次郎になりきっていた。でも疑問は、あの人、何の本を読んでるんやろ、と銅像によじ登ってのぞいてみたら、かっ色に光っているだけ。何も書いてなくて、ガックリ。

 そんな銅像も、昭和18年3月、金属回収でお寺の鐘とともに供出されて、大砲や鉄砲に変わっていった。

(絵と文:木村祥刀)

  1995年 5月16日 京都新聞 掲載


     

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