昭和ひとけた京育ち No.1 「はじめに」
 
No.1 「はじめに」

ベンガラ格子とバッタリ床机  27.3 ×23.3 cm

 

 ビルの谷間に、毅然とした姿で残る「京の町家」。懐かしさで、喜々として、スケッチのペンを走らせているうちに、ふうーっと、幼かったころがよみがえってくる。


 戦前のあのころは、家々の軒下も、道端も、子供たちの天下だった。思いつくままの遊びで日の暮れるまで、はしゃいでいた。


 昭和ひとけた世代は、激動の中で育ったけれども、そこには、恵まれ過ぎた今の子供たちより、はるかに伸びやかで、心豊かな暮らしがあった、と思う。


 町家を描く筆を、そのまま当時の子供たち遊びや暮らしへ、描きたくなった。単なるノスタルジーではなく、何かを語り、伝えられればと願いながら…。


  (絵と文:木村祥刀) 

京都新聞 1994 年 10 月 4 日 掲載


   

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